美容室の内装のイメージは、お客様をもてなす内装、奇麗な内装というように想像とおりの内装が思い浮かぶと思います。
お客様、いや美容師でさえ疑問をもたずに、私もそう思っていました。
関西時代に自サロンを移転拡張した時、少し無理して床は桜の木目、セット面、カウンターは柾目板を使った特注でそろえ奇麗な明るい美容室を作りました。
誰が見ても恥ずかしくない理想の美容室のはずが、何となく違和感を感じた最初の時です。
さらに、床を汚してはいけない。汚したら直ぐ拭き取る。ことが義務にもなりました。
私は、ヘアースタイルという作品をサロンで作らなければならないのに、ホテルのロビーで作業をしなければならないような現実に違和感を感じていたのです。
そこで数年後、従業員全員で海外研修に行っている間に、殆どの中身を処分してもらって美術教室の様に殺風景の空間にしてイーゼルと鏡を置いて仕事してみました。
おしゃれではありません。。。
しかし、美術教室でヘアースタイルをつくる感覚を得たのです。
その空間は、お客様をもてなす為の空間ではありませんが、ヘアースタイルをつくるための空間でした
心なしか良い仕事ができる様な気がして空間の重要性を認知しました。
それは、お金をかければ手に入るというものではない別の次元に存在するものように感じます。
東京進出するにあたり、この考えを形にしたいと思い、最初、関西でお世話になっていた内装業者に話をしましたが私の言っていることを理解できないようで、このままでは奇麗な美容室を作られてしまうと感じ「東京だから東京の業者に頼む事にした」と断って、ネットで数日間調べました。
あるサイトに「汚し得る美」の論文らしきものがあり、それは GFホームページ の1ページでした。
何となく直感的に、「美容室って作れますか?」と彼にメールしたのです。
その後、彼との打合せは内装の話は殆ど無く、将棋でもしている感覚でとても充実したものでした。
出来上がった空間は、正直、私達に厳しい位の環境でした。お客様にとっても、もてなす環境に重きをおいてありません。
鍛錬した刀工が今までの経験と技術を存分にふるって作られた日本刀の様に。(茶室だそうですが)
この空間を、私やスタッフ達は自分の創作活動の武器として使いこなす事が出来るのであろうか?
月日が経つのは早いもので、7年が過ぎようとしています。
GFのお陰で、少なくとも私の40代は充実したものになりました。
毎日の営業場所が修行の場。
リアルクローズが存在する場所は、ある意味異次元空間なのかもしれません。
ここに、リアルクローズの空間を作られた時の過程が説明されています。是非読んでみてください。